2009年9月9日水曜日

不景気

私がソノマに最初に来た1991年以来、20年近くも通っていたソノマプラザのSonoma Wine Exchangeの様子がおかしい。棚はガラガラで室内全部のワインを合わせても10ケースある程度。もう逃げ足感がひしひし。。ここのダンとは長く知っているけど「もうワインは売れない」と店閉めモード。彼のところから送ったワインは今まで何の問題もなく東京に届けられ、アメリカで最も大事な「信頼感」があった店だけに少なからずショック。彼らの泣きそうな顔に気の毒ながらもやは選ぶワインはなくなっていた。ほんの2ヶ月前の6月に顔を出したときには変わらなかったのに。

ワイナリー直売も年々国内に広がり、スーパーマーケットなどのワインの扱いは多くなり、観光客相手だけでは商売にならないのが本音のようだ。ナパのワインショップのように観光バスが止まるようなところでさえ10年前のようなカルトワイン抱き合わせの姿はない。オーパスワンやシルバーオークなどの有名ワイナリーは相変わらず観光客で混んでいるが地元の人を対象にした良心的なお店が姿を消しつつあるのは本当に残念。一見さんだけを相手に値段をふっかけたワインショップが華やいでいるのを片目でみつつ、値段と価値の見合うワインを良心的に販売するお店探しを始めている。多分、これは日本の小さな酒屋さんと同じ状況なんだろう。

2009年6月1日月曜日

タイサンボク

新型インフルエンザの影響でどうしようか、、と決めかねていたものの、空港隔離措置が解除になったので予定どおり5月末からソノマにやってきております。毎度のことながら緑豊かな静かな環境にホッとします。家のまわりの木々もうっそうとしてきました。ブドウ畑も若々しい新緑の畝に戻り、新しく伸びた枝にはちいさなブドウがついています。昨日車でちらっと見た家の近くに大きな木からハンカチのように白い花が目立っていたので、戻って見に行ったら、なんとタイサンボクの大きな花でした。 マグノリアはアメリカ南部に多く咲く花ですがこんなに大きな花を見たのは初めてで驚きました。 夏場は白ワインが胃にやさしいのですがシャルドネやソービニヨンブランの値段が気付かない程度の幅でに長年にわたって少しづつ上がってきているのでスーパーでさえデイリーのワインが20ドル後半になってきております。

2009年4月12日日曜日

お花見 in Tokyo

 



我が家にはマイ桜がありワインと食事に素敵な背景を作ってくれます。今年はシャンパンメインに仲間と花見を楽しみました。ビルカールサルモン、フィデル ヴェット・エ・ソルベに加えて、我家の30年ぶりに建て替え時に書棚の奥からうやうやしい箱に入ったポールロジャー1973が登場したものの、いつ空けたらよいのかその後もセラーで待機していました。




忘れられたままで35年も保存されていたシャンパンは空けたらどのようなものか??と何度かの機会に開けようとしました。もしかしたら、逝っちゃってるか、素晴らしいままか期待と不安で興味津々な一方、不思議ないとしさもあって空けるときを考えていました。 シャンパンは呼称制度がもっとも厳しいはずが、シャンパンの他に、ラベルになんとchardonnayとかかれている。つまりブランドブランをcuvee de chardonnayと表記されてる。が、ポールロジャーのヴィンテジシャンパン、、輸入元はマンズワイン、販売高島屋、、、もうおもしろすぎ。

結果は、とても素晴らしいワインでした。しっかりした酸はそのままに、やや黄金色で針の目のムース、味わいは蜂蜜香がほのかに感じる辛口のミネラル感やクリーミーな酵母の味わいで旧家の思い出とともに感激でした。

2009年3月9日月曜日

桜満開のソノマ


3月に入って、ほぼ毎日が曇りや雨の東京から桜満開のソノマです。
私にとっては花粉症と寒さから解放されたのがなによりです。

ワインを作っている人たちは、折々にその出来具合をオーナーに報告します。

昨夜はスノーデン、ヒルファミリー、ロックレッジのそれぞれのオーナーがワインメーカーから樽に入った2007、2008のバレルサンプルの説明と途中経過の確認に寄せてもらいました。スノーデンは近年常にパーカーポイントが90点以上を獲得しているナパのカベルネソービニヨンで樽の中のワインでも多層な香りと味わいをもつフルーツコンポーネントとしっかりした酸と上品で細やかなタンニンが期待感をそそりました。

サンプルテストはワインメーカーが小瓶につめたワインを注いで途中経過を調べるものです。08については北カリフォルニア全体が厳しいヴィンテジであったためにブドウの粒が普段より小さかったために醸し期間は通常の半分ぐらいの20日以下とのことでした。他のワイナリーも同様のようでした。既にリリースされている06とその後の3年にわたって比較し、1年ごとにワインが整ってゆく様子がとても興味深い経験でワイン産地ならではの醍醐味です。

2009年2月2日月曜日

アートとデイリー

私のもうひとつのブログ(ワインで世界めぐり)http://winetable.blogspot.com/がワインが表現する芸術的領域を追及している様子を公開していますが、家庭のデイリーワインは(特別に合わないという料理の日を除いて)予算内でおつまみやその日の家庭料理に合うものを選んでいます。

家庭は世界中のワインを試してみる絶好のチャンスでもあり、ソービニヨンブラン、シャルドネ、リースリング、トロンテス、など白ワインが主体に開けています。疲れない、余ったら料理に使える、軽いつまみに合うなど使いまわしが良いのも理由の一つです。白ワインばかりに飽きると大好きなピノノアールを開けるのですが、ワインに合うチーズなどを食べていると胃袋が洋食の準備になってしまって!!、あとに続く予定の日本食家庭料理とのギャップを感じてしまうこともあるからです。(日本にいるときは、できるだけ日本食を食べるように心がけているので、なかなか強いカベルネの出番がないのです。) 
そういうときは、ワインに限定せず日本酒を開けて、「やはり日本食には日本酒」などと言っているときもあります。

芸術的ワインについてはワインそのものを探究するという、「アート鑑賞」の世界に入れるのですが、
家庭のワインは食材や料理に合わせてワイン発掘の楽しみがあります。家庭のワインこそ、「フードワイン」として全体的な楽しい時間を演出する重要なワインで、ぴったり合った時の満足感を蓄積しようと失敗をも重ねております。

2009年1月9日金曜日

東京に戻り、新年に向けて

今年は新たなプロジェクトも幾つかあって実りある年になるよう頑張りたいと思っております。
さて、新年早々に半年の留学の成績が発表になりました。

ワイン生産地での授業やワイン教育というものにも興味があったので、日本の実績は隠してなるべく目立たぬ普通の学生として登録しました。留学担当からは、ESL(外人向け英語クラス)を受けないと授業についていけないとか言われたものの、(内心、もう何十年もアメリカ生活があるわけで不必要なのですが、)はいはいと言いつつ、実際のところはESLはとらずに正規クラスだけ登録しました。

留学生は私一人の完全にアメリカ人向けのワイン専門クラスを集中して限度一杯とったおかげで、月~金、あるは土曜日までのびっちり忙しいばかりでなく、大学のクラスは参加型やプレゼンテーションも多いので授業を聞いてテストを受けたり、リポートを出すだけではダメで、皆の前で課題を発表して質問に答えなければいけないので私が通っていたころの日本の大学システムとは大きく異なりました。

アメリカ人は成績を非常に気にしていて、最初の授業にかならずテスト範囲とかリポートの内容について質問する人が何人もいました。若い学生にとっては成績の具合で履修単位の掛け率が上がったり、逆に退校になったり、奨学金や進路に影響があるからです。

私はワインの貯金が多かったのですが、宿題が多い授業システムの不慣れと、栽培学で単語を覚える事と、リポート、小テスト、プレゼン準備で、週末など朝から気がつくと夜などということも多々で半年が過ぎてしましました。 でも、結果はオールA(90~100点)だったので、単位に4倍が加算されて1学期で最大限の46ポイントを獲得できました。相対評価でもあるので、遊学の私が若者のAの一部をとってしまったのは悪い気もするのですが、まあガチンコですから。

留学担当は結果をみて(それまでの上から見下ろす態度)を急に変えて、素晴らしい稀なケースだと誉められました。静かに見返すって気分がいいもの。成績表だけ見ると簡単そうですが、1週間で40時間、宿題などをあわせると週に60時間なので、半年で約1400時間の猛勉強で本当に大変でした。ひとり時間で家事もほとんどない事をいいことに家にこもったせいで、東京に戻ってちょっと歩いただけで足腰が退化したのを痛感してます・・・ が自信にもなりました。 

この経験や新しく学んだ事を次世代の若い人たちに伝えてゆくのも私の仕事の一つだろうと新年に思った次第です。